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今日も日誌を書こうと思う。
奈落とは、アルフレイム大陸北部に存在する、異界へ繋がる大穴のことだ。
幼いころ、母から寝物語として聞かせて貰ったことを覚えている。
昔、神々の戦争が終わった後のこと。小さき人々が、己の力のみで文明を気づいた時代。
今では考えられないほどのマナに溢れ、多くの魔法の品や魔剣が生み出され、
様々な知識を得た多くの魔法王が統治をする。強力な魔法の時代。
そんな時代に起きた、大陸中を恐怖と混沌に陥れた発端にして、最悪の出来事。
―――――――――大規模な魔神召喚儀式。その失敗。
その結果生み出されたものが、奈落であるという。
異界の大穴からは強力な魔神が現れ続け、異界より来訪した者共は大陸を七日間火に包んだとか何とか。
文明の殆どが魔神に滅ぼされながらも、当時の魔法王達は死力を尽くし、奈落を封じることに成功し、
そして封印の解れから襲来する魔神を防ぐため、魔法により巨大で長大な壁を築く。
それが奈落の壁であり、そこで人々を守るため、魔神を打ち倒すため、壁の守人が今も戦いに備えている。冒険者の元になった存在であり、勇敢な戦士らしい。
そんな奈落だが、奈落の影響は計り知れなく今も小さな奈落、奈落の魔域を生み出す。
良く、ギルドが配ったりする奈落のかけらは、この魔域の核を砕いたときの破片だ。
これを使って強化した武器や防具はその力を高める代わりに様々な呪いに侵され、
冒険者に害をもたらすものあれば、厄介だが普通なものまで様々であるけど、結局は呪い。悪いものである。
奈落の由来からして、碌なものではないだろう。
今日、その呪いの武器を集める魔物に出会った。巨大な手みたいな奴で、厄介な魔物だった。
手を打ち倒し、そこにあったのは墓標のような呪われし武器の数々。
奈落の武器を使った者達の、その末路を示すような、そんな光景だった。
如何に便利なものであっても、呪われた品を使う者の最後は、決まって破滅なのだろう。
私もいつか、呪いに手を出す日が来るのだろうか。
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