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古今において、名探偵というのは自ら記録を記すものではない。
だが、哀しき哉! この僕、トミー=タッペンスにはその足跡を記してくれる助手はいないのだった。
なに、遠慮することはない。この名探偵、助手はいつでも待っているよ(こんな私的なノートに記したところで誰にも伝わらないけれども!)
……テンションが高いな。
無理もない。今日は、我が冒険者としての初の仕事から帰還を果たし、懐かしの狭っ苦しい我が部屋へと戻ってきた日なのだから!
学院は、特に変わりもなくなによりだった。
ここにこうしてパイプをくわえながら座っていると、あの開拓村での日々が遠い夢まぼろしであったかのように思えてくる。
だが、あの日々は確かにあったのだ!
探偵たる活躍とはいかなかったが、こちらを丸め込もうとする悪徳商人との華麗なる舌戦、雲霞の如く押し寄せる志願者たちをばったばったと薙ぎ払い、もとい、配置していく、我が頭脳の天才的煌めきは、後世に語り継がれることだろう。
多少は脚色しているよ。そういうものだからね。
さて、帰ってきたからには、例の魔研費の件について着手しなければならないだろう。
冒険者の手を借りることもあるかもしれないな。これも楽しみだ。
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