一度銃を向ければ、この世に感じるのは獲物と俺の二人だけ。
獲物を仕留めた瞬間、世界に俺独りが残されたような気分になる。
俺はその瞬間が好きだ。
いや、別に人嫌いでもないし、仕事仲間と協力もするし、射線に割り込まれたからって邪魔に思う訳でもない。
何が如何好きなのか、なんて説明できそうにないし、する必要もないだろ、うん。
とにかく、仕事中に好きな時間があるってだけの話だ。
…だってのに、最近は如何にも浸れねえ。どうにも、独りになった、って気分になれねえ。
原因は分かってる。荷物に捻じ込んでるハルーラの聖印のせいだ。多分。
そりゃ、俺だって人並みに信心はあるし、天恵だの導きだのは野伏にとっちゃ重要だ。
元担ぎに持ってたっておかしくないし、気にする事でもないはずだ。
…女の遺品でもなけりゃ、だが。
仕事中にちょいと話したってだけで、縁や所縁が出来た訳でもねえ。
そりゃ、アンデッドになっても意識保って、奇跡まで使って手助けしてくれたってのは…素直に尊敬するがよ。
キッチリ祓って見送ったし、聖印だって託された訳でもねえ。
…妙に周りが押し付けてきそーな流れだったがよ。
別に俺が持ってる必要もねー筈なんだが…。
要らねえからって、捨てる気にもなんねえし…。
くそ、自分で何がしてーのかも纏まらねえ。
気にしねー様に慣れるしかねえか…。 |